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国産い草の約9割は熊本県で生産されています。残りは福岡県——そして2024年、静岡県焼津市に小さな息吹が芽生えました。そこでい草づくりをしているのが、YAiGUSA BASEの横田菜々さんと下出憲次郎さんです。
20代という若さでい草の世界に飛び込んだ二人は、“静岡・焼津産い草”という新たな挑戦に取り組んでいます。そして2026年3月。YAiGUSA BASEで初めて収穫されたい草を使った寝ござが、ついに完成しました。
栽培から織り、完成まで約2年。二人がどんな想いでい草と向き合ってきたのか。そして、その先に描く未来を語ってもらいました。
今回お話を伺ったのは……

YAiGUSA BASE
横田 菜々|よこた なな
1999年生まれ
2024年に萩原株式会社(萩原製造所の運営会社)に入社。静岡県焼津市にて、い草づくりとい草の認知拡大活動を行っている。なかでも、ござの仕上げ作業は横田さんが主な担当。大学時代にい草に魅了され、農業の世界に飛び込む。
趣味はお笑い鑑賞と麻雀。

YAiGUSA BASE
下出 憲次郎|しもで けんじろう
1999年生まれ
2024年に萩原株式会社に入社。静岡県焼津市にて、い草づくりとい草の認知拡大活動を行っている。なかでも、力の要る農作業は下出さんが主な担当。実はい草とゆかりがある生い立ちで……?
趣味はランニングとアニメ鑑賞。

萩原製造所の運営会社である萩原株式会社が所有する、い草農地とプロジェクトチーム名。静岡県焼津市にあり、県内で唯一い草を育てている農地です。所有面積は約8反(2026年収穫分の植え付け面積は1.5反)。
「い草産業・文化を盛り上げ、未来につないでいきたい」という想いから発足し、2024年よりい草栽培を開始。2025年には初のい草収穫に成功しました。
Instagram(@yaigusa_base)では、焼津のい草の様子を発信しています。
二人が農業を始めようと思ったきっかけや、い草を育てようと思った理由を教えてください。
横田さんは、萩原に入社する前からい草を育てていて、すでに5年ほど経験があるとのことですが?
横田 菜々(以下:横田):
もともと農業をやりたいなと思っていたのですが、農家の子どもでもなかったので、人生の後半でやろうかなって考えていたんです。
でも、大学時代に地元の焼津市で、当時い草を育てているところがあるって聞いて、「い草ってなんだろう?」って思って。そもそも畳がい草からできているっていうのを全く知らなかったんですよね。
それまでは、い草とあまり縁がない人生を送ってきていたんですね。
横田:
畳って和紙からできていると思っていたくらいに(笑)。 だから「これが畳になるってすごいじゃん!」って、い草に魅了されました。そのときに「もう今すぐ農業やりたい!」ってなって、当時焼津でい草を育てていたところでお世話になる形で農業を始めました。

八代の農家さん宅で談笑する横田(右)と下出(左)
下出さんは農業未経験だったとのことですが?
下出 憲次郎(以下:下出):
以前は商社に勤める普通の会社員でした。当時転職を考えていて、次は体を動かす仕事がいいなと思っていました。そんな時にたまたま横田から誘いがあり、面白そうだなと思ったのがきっかけです。
二人はもともと知り合いだったんですか?
下出:
学生時代のアルバイト先が一緒でした。横田が先輩で、僕が後輩。横田がい草を育てているというのは知っていたので、声をかけられたときに興味を持ちました。
横田:
あと、下出のおじいちゃんは畳屋さんをしていたんだよね。
え、元・畳屋さんのお孫さんなんですか!?
下出:
僕が生まれたときにはすでに亡くなっていたので、詳しいことはわからないんですけどね。でも、おじいちゃんが作ったい草の小物とかが残っていて、小さいころはそれで遊んだりしました。けど、まさか自分がい草を育てることになるとは思いませんでした。
横田さんと下出さんは2024年に萩原株式会社(萩原製造所の運営会社)に入社。研修として熊本県八代市に約半年住み、い草農家さんのもとで修行を行いました。その後、焼津に戻ってい草栽培を始め、2025年7月には初の収穫に成功しました。

焼津での先刈りの様子。当日は萩原の社長や営業も応援に駆けつけました。実はお茶刈り機で刈っています。
YAiGUSA BASEとして、静岡・焼津でい草を育てて約2年。これまでを振り返ってみてどうでしたか?
横田:
私はもともとい草を育てていましたが、それまでは田んぼに苗を植えて育つのを待つという感じでした。
でも、八代地方での修行を経て、その間に水や肥料を与えるタイミングがあったり、その肥料の成分にもこだわっていたり、い草を干す時期、織り方にも……。もうすべての工程に細かい作業があるというのを知って、「い草づくりってこんなにこだわってやるものだったんだ!」と衝撃を受けました。
そういう意味で、より深く、本格的ない草づくりができるようになったなと思います。

八代研修での網外し作業の様子。い草が倒れないように掛けられた網を、刈り取りの際に外していきます。


八代地方のい草農家さんたちも、とても親身になって教えてくださっていますよね。
横田:
はい。わざわざ焼津まで来て、一緒に夏苗を手植えしてくださったり、機械の整備をしてくださったりしました。それだけでなく、焼津の田んぼに合わせて肥料を設計してくださることもあったり。私たちの取り組みをとても応援してくださっていて、本当にありがたいです。
横田:
萩原製造所でもお馴染みの田淵さんには、織機※のトラブルをビデオ通話で2時間も見ていただいたこともありました。今回もござ織りの仕上げ作業を教えてもらうし、本当にお世話になりっぱなしです。
※織機:い草をござ(畳表)に織り上げる機械。

い草農家・田淵さんに、ござ織りの仕上げ作業を教えてもらっている様子
横田:
い草って、苗を育てて、それを田んぼに植えて成長させて、収穫して、泥染めして乾燥させて、それで織り上げて……って考えると、ござ1枚完成するのに約2年もかかるんですよね。すごく大変なんですけど、その分形になったときは本当にやりがいを感じます。

泥染め専用台車に積み込まれたい草



今回、焼津で初めて収穫したい草を使った、寝ござを販売することになりました。こだわりや見どころを教えてください。
横田:
うーん、こだわり……。
やっぱり、静岡県で唯一収穫されたい草ってところがポイントなんですかね?
横田:
それもそうなんですけど……。今は、八代地方の農家さんが作るようない草を目指すことで精一杯で。焼津の気候・土壌とい草の相性を、探り探りで育てている段階なんですよね。
製織(織り)に関しても、機械整備や仕上げ作業にかなり時間がかかっていて、まだまだ成長途中です。でも、一枚一枚丹精込めて仕上げたので、それを感じていただけたらうれしいです。
下出:
逆に言うと、これからの成長を見ていてくれたらという気持ちもあります。まだ1年目ですし、5年後とかにまた手に取っていただいて、違いを比べてもらえたらと思います。


横田:
あとは、自分たちで作ったというよりは、八代地方の農家さんたちのおかげで、できあがったものだと思っています。悩んで悩んで、いろんな方に助けてもらって……。
だから、八代地方の農家さんと一緒に作った——八代地方の農家さんの想いも乗っかってできた寝ござとして見てほしいですね。私たち(焼津)だけじゃないぞって。
下出:
僕は「なんとかなる」ですね。というと、いつも怒られるんですけど、まあなんとかなるんで(笑)。あんまり深く考えすぎず、きっとい草も育つだろうって気持ちでやっています。
横田:
私は、「慎重」ですね。い草も一回失敗したら調整が効かないんで。でも、慎重すぎると作業効率が悪くなっちゃうしで難しいんですよね。
「なんとかなる」と「慎重」で、良いバランスが取れてる気がしますね。
下出:
そう。どっちも大事ですよね。
横田:
あ、そうだ。私の好きなお笑い芸人さんの言葉で「やらない後悔より、やって大成功」っていうのがあるんですけど、あれも好きです。
何もやらないでいるよりは、じゃんじゃんやって失敗して、その中で成功していったほうがいいですよね。田淵さんからも似たようなことをよく言われています。失敗しないと覚えられないから、どんどん挑戦しなさいって。

い草の苗床(撮影:8月/焼津)

田植え後の田んぼ(撮影:12月/焼津)
最後に、今後YAiGUSA BASEをどうしていきたいかなどを教えてください。
横田:
良質ない草を作るのはもちろんですが、YAiGUSA BASEはい草産業・文化を盛り上げるために立ち上がった場所なんですよね。
だから、いろんな農家さんや畳屋さん、そして消費者さんを巻き込んで、「い草っていいな」って思える、楽しい場所にしていきたいなと思っています。
それこそ、農業体験やワークショップができたらいいですよね。関東の人とかだと、熊本まで行くとなると、距離的に敷居が高くて諦めちゃう方もいると思うんです。
でも静岡なら、「結構近いな、行ってみようかな」って思ってもらえるかもしれない。そういう人たちが実際にい草を見て、触れられるような場所になれたらうれしいです。そのためにも、今後もい草づくりを頑張っていきます!

焼津で開催された子ども向け職業体験イベント(2025年11月)。
地域の方へのい草認知活動も行っています。
下出:
僕的には、小中学生を招いて、授業の一環で農業体験や田んぼの見学会ってのも面白いかなと思っています。
この間も、焼津の松葉畳店さんのお声がけで、子ども向け職業体験イベントに参加したんですけど、そこでい草ができるまでを紹介させてもらいました。
そういうふうに、小さいころからい草のことを知って、少しでも知識を持っていてくれたら、大きくなったときにふと思い出してくれるかなと。それで、畳やい草のアイテムを取り入れてみるきっかけになればいいですよね。
僕自身もおじいちゃんが畳屋で、昔からい草と馴染みがあったからこそ、今がありますし。

横田:
あとは、SNS発信も頑張っていきたいですね。
畳屋さんとお話していて思うんですけど、農家さんのファンや、人柄に惹かれて買っているっていう人も結構いらっしゃるみたいなので。焼津のい草がより身近に感じてもらえるよう、情報発信は力を入れていきたいです。
YAiGUSA BASEのInstagramでは、焼津のい草の様子や活動を発信していますので、ぜひ気軽にフォローしていただけると幸いです!
多くの人に支えられながら完成した、YAiGUSA BASE初の寝ござ。二人の言葉からは、い草の未来を感じさせる、強い熱意が伝わってきました。そんな想いがたくさん詰まった一枚は、萩原製造所でもお取り扱いしています
い草業界に新たな風を吹き込む二人の挑戦を、静岡県焼津の息吹とともに、ぜひ手に取って感じてみてください。
また、萩原製造所では焼津のい草の様子を随時発信予定です。YAiGUSA BASEのInstagramとあわせて、今後もお楽しみに。
Instagram:@yaigusa_base